医学部入試 ──差別は無くなったのか
はじめに。
あくまでこれは一私の意見・体感であり
調査等を入念に行った訳ではないです。
なので、一、元医学部受験生の戯言と思って読んでください。
私が浪人していた間、医学部受験生の間に衝撃が走った事件がありました。
もう知らない世代もいるかもしれません。
東京医科大学不正入試事件です。
詳しくは↓コチラ
〈東京医大“不正入試”事件〉「いい線まで行けば、なんとかしますよ」親子は検察に狙われた? その夜、会食で何が話されたのか(文春オンライン) - Yahoo!ニュース
私が浪人を始めた頃はまだ『裏口入学』や『口添え』という言葉が普通に(?)飛び交っていましたが
ここまでのものは正直びっくりしました。
というのも、1次入試合格は必須条件のことが多かったからです。
関東圏の某医科大学さんのコネ入試は
1次受かれば2次はフリーパスだった記憶があります。
彼の当時話題になった、入試直前にハワイかどっかに行ってるのを見る限り
1次すら形式的なものだったんでしょうね。
なかなかびっくりです。
この一件は衝撃的でした。
しかし、この一件のお陰で昔に比べ、私立医学部の入試がクリーンになったのも事実です。
この件を機に、不正入試調査が私立医学部全体に入りました。
出るわ、出るわ…。
( Д ) ⊙ ⊙
それまでは受験生の間では当たり前だとすら錯覚していた
「男女差別」や「年齢差別」は
実は当たり前ではないと知ったのもこの時でした。
その位、異様な世界だったんです。
まあ…分からなくは無いんです。
浪人数を重ねた人より、現役や1浪2浪を取りたがるのは。
だって同じ内容を早く習得してくれる方が能力が高いことの証明っちゃ証明ですからね。
入ってから留年ばかりされたり、抜けられたら困る。
その気持ちも分かります。
女性医師が男性医師より働いてくれないのも
まあ……分かります。
(私としては、平等に働きやすい環境にしてくれればこの問題は無くなると思うんですけどね↑)
しかし、黙認していいかと言ったら
そうでは無いんです。
入試はあくまで「みんなにチャンスがありますよ」と謳って
大体各学校6万という安くは無い試験料を徴収しているのですから。
(書けばいいのにね。募集男女比を。中学入試とか、高校入試みたいに。)
まあ、やってたことは詐欺ですよね。
その後入試で起こった変化の1つに
自分の情報を書き込む欄にて
親の職業や出身大を聞く大学が減ったことがありました。
それまでは10校中半数くらいあったんですけど、無くなりました。
翌年はその激変振りに
「おおっw」ってなりました。
あと、聖マリアンナ医科大学や昭和大学は
試験料返金などもありました。
申請して、返金みたいな。
きっちり返してもらいました!!
不正が暴かれてから
医学部の男女比が逆転したという現象も記憶に新しいです。
医学部合格率、男性が女性を再び逆転…東大など29大学は女性が上回る : 読売新聞
黒いわー。
ここからが本題?というか
元医学部受験生の体感です。
私が合格したのはこの事件があった後なのですが
受けてきた体感としては
「男女差別はないが、学校によっては浪人(年齢)差別有り」
です。
私が合格した年、1次は7校受かっているのですが
そのうち2校からは、圧迫面接を受けました。
そのうち1校は「多浪部屋」と呼ばれる
多浪生や再受験生が面接を受ける部屋があったそうです。
私も知らず知らずのうちにそこに入れられてましたwww
その後結果が出たのですが、2校とも2次落ちでした。
正直、自己採点もとても良く、面接/小論共にかなり自信のあった1校に落ちたとわかった時は
人目もはばからずに泣きました。
2次面接はお見合いなので仕方ない。
面接官と私の波長が合わなかっただけだ。
と今なら他校受かってるので言えますが
これが落ちてたら…と考えるとなかなかにきついです。
自分より自己採点が悪かった子が補欠と聞いた時も地味に傷つきました。
同じ予備校の子達の話を年齢問わず聞いてみたんですけど
「多浪生は何らかの問題を抱えてる」という観点から篩にかけているのかもしれません。
実際、長い浪人生活で精神を病んでしまう人は少なからずいます。
私も何人か会ってきました。
緊張状態の中で圧迫面接や難しい問にも応答できる、精神力の持ち主を見抜く為にやっているのかもしれません。
(みんなに同じように面接せずして、平等な評価が下せるのかは疑問ですが。)
性別に関しては、自分で選べないものにおける差別ですので是正して然るべきだと思います。
年齢、多浪に関しても差別は無い方が良いに決まってます。
しかし、現役生や浪人歴の短い子達とは違うということは覚悟して受けた方が良いのは確かです。
医学部という学部の特性上、「医師育成学校」の側面が大きく
医学部生は将来の日本の医療資源として見られます。
同じくらい優秀なら、大学側は10年長く働いてくれそうな人を選びたいのは理解した上で受験しなければいけないでしょう。
特に多浪は自分の選んできた道の結果です。
その道は自分でどうにかしようとしたら出来たものと思っています。
私も長らく浪人しました。
だけど、私の長い浪人生活は誰のせいでもなく
自分の歩んできた結果だと捉えています。
面接等では苦戦を強いられましたが、それでもある程度のラインを超えたら合格出来ました。
差別を許容すべきではないと心から思っています。
しかし、あの一件があってからも
無くなったとは言いきれません。
「若い方が良い」
そういう考えの人達は一定数いるのです。
だったら、その考えをひっくり返す程の
成績と面接や小論でのぞむしかない。
少しでも多くの大学に一次試験で受かって、自分を選んでくれる所に行くしかない。
実際、私が今通えている大学の医学科は
様々な背景の、様々な年齢の人がいます。
変わってきているのは確実です。
受験生の男女比も昔とは比べ物にならないほど、女の子の割合が多くなりました。
嬉しい事実です。
このまま女性医師が増えて、出産や育児と仕事を両立出来るような環境改善が進めばと思います。
色んな背景を持った医師が増えて、もっと患者さんに寄り添える医療現場になれたら良いなとも願っています。
私は医学生になって感じるのが
その日は近づいているとということです。